退職する際は“後を濁さず”

水鳥は池や湖に飛来し、一定期間を過ごすと次の場所へ飛んでいく習性があります。水鳥が去った後の水辺の様子がまるで何事もなかったかのように整然と美しいことから、一時期過ごした場所を去る時はこのようにして去りたいものだということで生まれた言葉です。ちなみに反対語は「後ろ足で砂をかける」です。こちらは正反対で恩義ある人を裏切り、去り際にさらに迷惑をかけることです。会社を辞めるときは、もちろん前者でなくてはいけません。

お世話になった職場への配慮

お目当ての会社から内定が出て胸踊る時期、ついつい今後のことで頭が一杯になります。でも、今までお世話になった会社を去るにあたっては後任者がスムーズに業務推進できるよう隅々まで心を配ることを忘れてはいけません。たとえ大きな業績が残せなかったとしてもあなたに対し「ここまでやっててくれた」と感謝してくれるでしょう。“惜しまれて”去ることを心がけたいものです。

退職前までにこれだけのことはやっておこう

退職するにあたり具体的にやっておくべき最小限のことを整理しましょう。例えば次のことがあげられます。

1.仕事の整理と引き継ぎ

つつがなく業務が進むよう、取引先・後任者ともにスムーズに推進できるよう責任を持ちます。自分がいなくなった後も、これを見ればわかるといったような資料を残しておくと喜ばれます。やり残している仕事はないか再三にわたり確認します。できれば、期待された以上のことを残して喜ばれたいものです。

2.取引先への連絡・挨拶と後任の紹介

他部署や外部の取引先との関わりがあったら、後任の方を紹介します。後任者が気持ちよく仕事に励めるよう温かく紹介しましょう。

3.上司や後輩への挨拶 

出向いたりメール等で挨拶をしましょう。次の会社でもお世話になるかもしれない方やブレーンとして長くお付き合いしたい方はもちろん、そうではないその他大勢の方にも感謝とお礼を伝えます。

4.使っていた机の整理や私物の整理と備品の返却

次に使う方が気持ちよく使えるよう気を配りましょう。
借りているパソコンや制服などの返却なども忘れないようにしましょう。

5.書類の確認

未提出の人事関連の書類はないか、また受け取りそこねている書類はないかを確認しましょう。
新しい職場に移動した後に、呼び出しがかからないように気を付けて下さい。

6.菓子折りを渡す

お世話になった皆さまに最後お菓子を配るものですが、人数分であることはもちろんお菓子そのもののセンスも大切です。
身辺整理をできるだけ早めに行い、周囲に迷惑をかけないように心がけることが大切です。

ただ去るのではなく、宝を残す

転職しても過去の会社のブレーンや同僚が、新しい会社での仕事の助けになってくれることがあります。通販業界なら外部ブレーンとしては、業界に詳しい営業マン、制作なら撮影クルーやライター、デザイン、イラストレーターなど、どの会社に移ろうと仕事を助けてくれる立場の方が多いです。元同僚にもトレンドやレスポンス成功例、失敗例などを言える範囲で共有できるでしょう。それらはいわば宝です。気持ちの通じた仲間を多く増やして行くことは大切です。

去っても去り切れない場合もある?

さて、実は通販業界は縦横無尽に人材が交錯しています。通販に関わった人は、専門知識や経験を生かして通販業界内で転職するケースが圧倒的に多い印象があります。それだけ専門性が高くやりがいのある仕事なのかもしれません。ですから、会社を辞めて「やれやれ、これであの先輩ともお別れ」と内心ホッとしても、次の会社にその先輩の元同僚がいるケースもあります。
また、人間関係で溝を作ったまま辞めていった人が、次の会社の面接官だったなんていう可能性もあります。今の同僚が前社の後輩の上司だったり、今の上司が前社の後輩の部下だったりと、驚くほど人材が交錯しています。

外部ブレーンと良好な関係を築く

前述のとおり外部ブレーンとして、様々な業者が多くの通販会社に複数関わっています。そのため、内部の人間よりも業界について詳しく、繋がりがあるケースもあります。
うっかり社内の事情などを口にすると、どこまで広がるか知れないほどです。通販業界で悪いことはできないのです。
ですから、人間関係ですれ違いがあったとしても、絶対に二度と顔を見たくないような関係だけは作ってはいけません。これは通販業界の鉄則です。

人とのつながりを意識し、円満退職を

逆にいい仕事をしていたら、それもまた人が人を呼び、転職や次の仕事の助けになるケースもあります。あなたの今の上司が、あなたの行きたい会社の中に知り合いがいて紹介してくれるパターンもあるでしょう。もし制作系の仕事をしていたら、副業の話も人を伝わって飛び込んできます。その制作物が高いレスポンスを出して売上をあげたら、将来副業が本業になるケースもあるでしょう。“人こそ財産”という言葉がありますが、通販業界は人とのつながりが良くも悪くも強く生きているのです。