昔に比べて転職をする人も増え、転職活動をしている人も珍しくなくなりました。企業も転職者向けの採用活動をする機会が増え、応募から採用に至るまでのフローもおおよそ確立されています。もちろん、企業により異なる点も多数ありますが、大きな流れとして共通している事項も多いです。
そこで本記事では、転職活動のうち特に「一次面接」に着目し、これから転職活動を行う方に向けてポイントや注意事項等を解説していきます。ぜひ参考にしていただければと思います。

転職活動における一次面接の特徴

まずは一次面接の特徴を挙げていきます。転職活動といっても、従業員となる者の選定を行うという大きな目的は新卒での就活と異なりません。そのため転職活動であるからといって劇的な変化が起こるものではありません。しかし見比べてみると、転職活動ならではの特徴やちょっとした違いがあるのは確かです。

一次面接で採用が決まることもある

転職するということはその前提として、以前別の会社で勤めていた又は現在進行形で勤めている、ということが言えるでしょう。そのためまったく職歴を持たない者・新卒者に比べ、勤務実績や成果といった客観的な情報を相手方が得やすいです。そこで採用する側としても慎重に何度も面接を経ることなく、本人に対する評価を下しやすいです。また、企業も即戦力を求める場合にはできるだけ早く人材を確保したいと考えるでしょう。
こういった理由もあり、転職者向けの採用フローは一般的にその期間が短い傾向にあります。もちろん、企業の状況や仕事内容、募集をかける目的などに応じて、じっくり選考することも十分に考えられますが、場合によっては一次面接で結果が決まることもあるのです。
特に規模の小さな会社だとその傾向が強く、即日合格の旨を伝えてくることもあり得ます。

実施時期がばらばら

新卒の場合には卒業を待っての勤務となるため、必然的に就活の時期も画一的となります。しかし転職をするタイミングは人それぞれですので、裏を返せば、企業の採用枠に空きが発生するタイミングもまちまちということが言えます。
そのため、面接のタイミングもばらばらであり、企業が募集をかけた時期や、転職者が応募した時期によって変わってくることになります。

採用枠が狭い

採用の枠が比較的狭いという特徴も挙げられます。中途採用を通年募集している企業もありますが、空きが出た時に募集をかけるというやり方の場合には数名程度しか採らないということも珍しくありません。そのため希望する企業がそもそも人材を求めていなければ当然採用されることはありませんし、枠があったとしても人気の企業であれば倍率が相当に高くなることが予想されます。
しかしながら、著名な企業でなければ枠が狭くても常に倍率が高くなるわけではありません。その時期に応募者の数も少ないからです。競争する相手がいないことも多く、他の応募者と比べられずに採用が決まるケースもあります。

一次面接では基本的な事項が聞かれる

質問される事項ですが、前項で紹介したように、面接を繰り返し実施するつもりのない企業であれば一次面接であらゆる事項が聞かれる可能性があります。その場で判断を下すため、動機や自己PRといった基本的なことから具体的なスキル、実務的内容も聞かれるでしょう。
しかし「一次面接」と銘打って実施する場合にはその後に二次面接や最終面接、といった採用フローが用意されていることが想定されます。そうすると聞かれる内容やその趣旨も各段階に応じて変わり、転職者は各段階における対策を考える必要が出てきます。

この場面での面接においては、やはり細かな技術やできることを深掘りするのではなく、人物自体が見られると考えて対策をとることが大事です。その企業に応募した動機や、志望理由、長所や短所といった自らに対する客観的な評価、内面的なことも聞かれやすいです。
その理由としては「人事担当と面接をすることが多い」ということが挙げられます。人事担当も現場で必要なスキルなど基礎的なことは理解していますが、より深い内容は、二次面接や最終面接等で聞かれる傾向にあるのです。その場面では人事担当のみならず実際に働くことになる部署の部長やリーダーといった立ち位置にいる人が参加すると考えられます。

そこでまず一次面接ではその者が当該企業を組織する一員としてふさわしいかどうか、当該企業で働く従業員と協調できそうかどうか、といった点が見られます。
その企業が重視するところにより質問内容の比重は変わってきますが、おおよその傾向としては上記基本的事項が聞かれると言えるでしょう。そこで、面接前には会社についてよく調べ、どのような雰囲気なのか、どのような人材が求められているのか調査しましょう。そうすると一次面接における最適な受け答えが見えてくるかもしれません。逆に、その時点で合わないと感じたときには無理に合わせて取り繕うのではなく、別の企業を探すという選択肢も視野に入れましょう。採用してもらうことができても、その後働きづらい環境に身を置くのは精神衛生上良くありませんし、すぐに再度の転職をすることにもなりかねません。

一次面接を通過するためのポイント

それでは次に、一次面接を通過するために知っておくべきポイントを紹介します。一次面接ならではの特徴を捉え、対策を取り、二次面接以降に繋げていきましょう。

転職の背景が説明できるようにしておく

一次面接では、「なぜ前職の仕事を辞めたのですか?」といった趣旨の内容を聞かれることが多いです。これは新卒における就活にはない、転職ならではの質問と言えるでしょう。質問される可能性はかなり高いため、必ずその背景を伝えられるようにしておきましょう。
上手く口頭で説明できることは当然必要ですが、その説明の仕方にも配慮が必要です。例えば、前の職場での退職原因がその希望する企業にもあてはまるのではないかと思われてしまってはいけません。実際には複数の理由との兼ね合いにより退職をしたにもかかわらず、ただ一つの理由のみを簡単に挙げてしまうと、「その内容は自社にもあてはまるからまたすぐに辞めてしまうだろう」と評価されてしまうかもしれません。そのため説明が複雑になり過ぎない程度に、具体性をもって退職理由等は説明しなければなりません。また、前の職場に対する悪態をつくのも印象が悪くなりますので避けるべきです。
そして可能であれば、転職の背景と志望理由が紐づくようにしましょう。

1.前の職場は○○という理由で辞めた
2.そこで、その背景を踏まえ△△な職場・仕事が自分に合っていると気づき、転職活動を始めた
3.その結果、御社を見つけた

といったように理にかなった筋書きを頭の中に入れておきましょう。上の例は非常にシンプルなものであり、実際には個別具体的に構成を考える必要があるでしょうし、決してこじつけになってはいけません。取って付けたような面接対策では説得力を欠きます。相手方に、「確かにそういった理由で辞めたのであれば、自社を希望するのも納得できる」と思わせることが大事です。

社風が合っていることを示す

前項の内容とも関連しますが、一次面接では詳細な職務内容というより企業そのものとのマッチングが図られますので、社風が合っていることや企業方針に合った人材であることを示しましょう。
この場合もやはりわざとらしくなってはいけません。ホームページ等に記載されている企業理念をそのまま読み上げて私も確かにそのように思うと伝えるだけでは不十分です。会話の中で間接的に、自然に、企業理念や社風に合った人物らしい発言をしたほうが効果的でしょう。

即戦力になれることをアピールする

中途採用であることを踏まえれば、即戦力になることも大きなアピールポイントになります。新卒に比べて丁寧に教育が施されることは少ないですし、「急募」となっている場合には特にその傾向が強まるでしょう。中途であるからという理由のみで常に教育期間が設けられないわけではありませんが、即戦力であったほうが企業としてもコストがかからず嬉しいことに違いはありません。

一次面接での注意事項

最後に、一次面接における注意事項を簡単に紹介しておきましょう。

新卒より求められるものは多い

新卒よりも多くのことが求められていると認識しておきましょう。すでに社会人経験があるため、マナーや言葉遣い、その他様々な場面での対応において、ハードルが高くなることが考えられます。求められる内容はその会社の雰囲気などによって異なり、厳格な空気感の職場であればなおさら立ち振る舞いには気を遣わなければなりません。

ミスマッチの無いように質問事項を考えておく

企業は面接の段階になれば従業員となる者を選ぶ立場となりますが、応募者にもどのような企業に勤めるのか選ぶ権利があります。そこで、期間にどれだけの余裕があるのかにもよりますが、できるだけ自分に合った職場かどうか、面接を通して見極めるよう努めましょう。
応募をする前に分かることはできるだけ調べておかなくてはなりませんが、その情報だけでは把握できることにも限りがあります。そこで一次面接の場で質問を行い、会社のことをより深く理解すると良いです。これによりミスマッチを防ぐことができ、双方にとって良い選択ができるようになるでしょう。
そのためにも自分が職場に求めていること、重視していることを事前にリストアップしておき、質問すべき事項としてまとめておきましょう。自身の将来のためにもなりますし、担当者にも本気度を伝えられます。また、質問から得た情報は二次面接以降に役立てることもできます。

以上で転職活動時の一次面接におけるポイントを紹介してきました。面接前にしっかりと準備し、聞かれる質問への対策および自ら尋ねる質問内容を持っておきましょう。