インターネットを使ったショッピングをする人も増え、日常生活において通販は欠かせないものになりつつあります。住んでいる地域も関係なく、家に居ながら多様な商品を購入することができるなど、非常に利便性が高いという特徴があるからです。

しかしトラブルも多く生じているため、通販業界の成長とともに、運営側の顧客対応やコンプライアンス強化、その他専門性のレベルを高めることが求められています。そしてこういった問題を解決するためには「通販エキスパート検定」の利用がおすすめです。

以下ではこの検定がどのようなものなのか、また独学での受験に関することなども解説していきます。

通販エキスパート検定とは

通販に関する専門性のレベルを計る指標の一つとして「通販エキスパート検定」が挙げられます。

そしてこの検定を利用すれば、現状のレベルを把握するだけでなく、より深い専門知識を身に付けるきっかけにもなります。

まずはこの検定の内容、試験の方法、そしてどんな人に向いているのか、紹介していきます。

試験概要

通販エキスパート検定は、通販の仕組みやそのマーケティング戦略、顧客対応からバックヤード施策、関連法令のことなど、通販を行うにあたり必要な専門的知識を広く習得することを目的とした検定になっています。

例えば通信販売を行う上で理解しておくべき基本的な考え方から始まり、カスタマーサービスや品質管理といったこと、広告手法など実務に役立つ問題などが出題されます。

またこの検定は、各級でレベル分けされており、これから通販を始めてみようと考える人から、すでに担当者として実務をこなしており、今後さらにレベルアップしていきたいと考える人まで、様々なレベルの人に合った試験が用意されています。そのため受験に対するハードルが比較的低く、また学習に対するモチベーションも継続しやすくなっています。
具体的には以下のように分けられています。

  • 3級
  • 2級
  • 1級
  • スペシャリストコース:カスタマー・セントリシティ
  • スペシャリストコース:データドリブン・マーケティング

3級、2級、1級、そしてスペシャリストコースの順で難易度が高くなります。
3級では、「通販の歴史や特徴、市場規模」「通販の仕組みや基本的フロー」「通販の媒体」「通販における顧客対応」「通販におけるコンプライアンス」といった、通販そのものに関することから、実務のごく基本的な事項などが試験範囲とされています。

これに対し2級では、「通販の商品開発」「媒体制作」「ネット通販の実務戦略」「通販のテレマーケティング」「通販の物流から配送、決済」「リスクマネジメント」など、より実務向きの内容が扱われるようになります。
1級はさらにレベルが上がり、内容もマネジメント寄りのものとなります。

スペシャリストコースには、カスタマー・セントリシティとデータドリブン・マーケティングの2種類が設けられており、前者では顧客中心主義を実践するための知識、後者では通販におけるデータ分析に関わることなどが扱われています。

試験の方法

試験の方法ですが、パソコンを使ったWEB試験方式となっております。筆記用具を用意する必要もありません。
また試験会場に関しても、全国260か所以上あるWEB試験会場から選択することができるため、試験のためにわざわざ県外に出向く必要などはありません。地方などでも比較的受験のしやすい検定であると言えるでしょう。

なお、出題方式は3級~1級、スペシャリストコースのいずれも四肢選択式です。
試験時間が60分であることも共通していますが、問題数は異なります。3級および2級は全部で100問出題されるのに対し、1級以上の試験では50問となっています。難易度が上がる分、同じ時間内で回答するために出題数が少なく設定されています。

どんな人におすすめか

通販エキスパート検定は、当然、通販業務を担当する人におすすめの検定です。個人や法人問わず、ネットショップを開設している人はぜひ受験してみると良いでしょう。

ただし通販の担当をしているといってもその関与の程度や、権限の程度なども担当者によってそれぞれ異なると思います。特に大きな企業が運営している場合には役割が分担されていることもあるかと思いますので、まずは自分に合った級から受けてみることがおすすめされます
まず3級についてですが、こちらは通販の「基礎編」とされており、

  • 通販企業に就職しようと考えている人
  • 通販の実務担当者
  • 広告代理店で通販を担当している人
  • 通販広告の制作をしている人
  • ネットショップの担当者

など、幅広い人におすすめできます。

続いて2級ですが、こちらは「実践編」として、以下の人におすすめです。

  • 通販に関するマーケティングに携わる人
  • 通販の商品開発を担当している人
  • 通販の物流に携わる人
  • 通販に関する法務担当者
  • ショップの運営責任者
  • 1級は「マネジメント編」ですので、以下のような人の受験が想定されています。

    • 通販企業のマネージャークラスの人
    • 通販について経営戦略に携わる人
    • 通販コンサルタント

    最後にスペシャリストコースですが、カスタマー・セントリシティでは1級以上の知識を持っており、かつ、CRM等のシステムに携わっているなど、特に顧客関連の業務に関するスペシャリストを目指す方がおすすめされます。
    なおCRMは「カスタマーリレーションシップマネジメント」の略称で、顧客に着目したビジネス展開の上、利益を伸ばすマネジメントを意味します。市場が大きく変動している業界や他者との顧客獲得争いが激しい場合など、顧客を正確に把握する必要性が高い場合にはこちらの試験を受験して知識レベルの向上を図ると良いでしょう。
    データドリブン・マーケティングでは、1級以上の知識を持っており、かつ、BIツールなどデータ分析のスペシャリストを目指す方の受験がおすすめです。

    なおBIツールは「ビジネスインテリジェンスツール」の略称で、簡単に説明すると、企業の扱う膨大なデータを分析するためのツールのことです。顧客数や商品数等が多く、規模の大きなショップを運営する担当者である場合にはこの試験の受験も検討してみると良いでしょう。

    通販エキスパート検定の難易度

    続いて難易度について見ていきましょう。
    3級から1級に関しては検定の公式HPにて合格率等の情報が公開されています。そちらを確認してみると、3級では合格率66%、2級で54%、1級で66%となっています。
    各級100点満点で70点以上を取れば合格となります。

    単純に合格率のみで難易度を判断することはできませんが、受験資格がなく誰でも受験が可能であること、また3級がこの中で最も難易度が低く、初学者が受ける割合が高いと想定されることから、少なくとも3級に関しては易しい試験であると言えます。

    平均点は71点で、合格点である70点を超えており、受験者の半数以上が合格していることからもそれほど難しい試験ではないと評価できます。

    1級に関しても平均点が71点で、66%という高い合格率になっていますが、3級と比べると受験者層のレベルがもともと高いことが予想されます。

    予備知識を持った人が多く受けていると思われますので、初学者が1級を受ける場合、表示されている合格率から予想される難易度より体感では難しく感じるかもしれません。

    なお、受験後はすぐに合否が判定され、パソコンの画面上で確認できます。

    全受験者にスコアレポートが渡され、有料ではあるものの希望すれば認定書も発行してくれます。

    独学での受験について

    次にこの検定を独学で受けることに関して言及していきます。

    独学でも合格は可能

    前述の通り、この検定に受験資格はなく、誰でも受けることができます。そのためどこかで講座を受けていることや、専門学校等で勉強をしていることなどは求められません。

    そのため独学であっても合格を目指すことは可能です。

    難易度の面から考えても、それほど難しい試験ではなく、独学でも合格することは可能でしょう。1級やスペシャリストコースでもしっかりと知識を付けて挑めば合格は不可能ではありません。

    なお、独学で学ぶ人は、この検定を運営する一般社団法人通販エキスパート協会が作成している公式テキストを利用すると良いでしょう。3級から1級、そしてスペシャリストコースそれぞれに関しても公式テキストが販売されていますので、独学者でも、高い級まで目指しやすくなっています。

    受験者のエピソード

    実際に受験した方のエピソードも公式に掲載されているため、これから独学で目指す方向けにかんたんにまとめて紹介していきます。

    まず一人目ですが、この方はもともと仕事で通販や物流に関わりを持っていたものの、通販に関する知識がほとんどなかったため、勉強のために通販エキスパート検定を受検するに至っています。公式テキストを利用し、試験の一週間前から勉強を開始しています。テキストについては、要所が図表でまとめられていて重要ポイントが頭に入ってきやすかったと評価しています。

    別の方は、3週間前から勉強を開始し、休日と最後の1週間で追い込みをかけて受験しています。試験については、問題数が多いため時間配分が大事と感想を述べています。

    また別の方も3週間から1ヶ月ほどの勉強期間を設けています。テキストに関しては、文字が多く不安だったものの意外とわかりやすかったと評価しています。試験内容も、きちんと勉強していたら解ける問題で、難しいとは感じなかったようです。

    いずれも受験者もそれほど長い期間勉強しているわけではなく、この点からも難易度がそれほど高くないことが伺えます。

    まとめ

    以上で通販エキスパート検定に関すること、そして独学での受験について説明してきました。

    今後通販サイトを構築しようと考えている方、すでに運営担当になっているものの知識不足を感じている方などは、まず3級から受験してみるといいでしょう。3級から合格を重ねて少しずつステップしていけばモチベーションも維持することができますので、独学でも1級やスペシャリストコースまで目指すことができるでしょう。